2023年3月12日(日)

晴れ。


28時。

野末さんは一回ゴミを出しに帰ると言い出した。

そのまま翌日の6時半には出勤するらしい。

間、2時間半なので、

理由が"少しでも寝たい"ならば気持ちはわかる。


しかし野末さんは

"ゴミを出しに帰る"と言っている。

何故か問うと、


『いや子供も小さいし、

ゴミ出しに行くの大変じゃないですか。』


という。

これには驚いた。

なんと優しい男なのだろう。

きっと幸せな家庭なのだろうと思う。

ゴミを出した事がほとんどない俺は耳が痛い。


耳と言えば、

野末さんは耳たぶを触るのが癖だ。

5秒くらい隙を与えると、

ひょいと右手で、

自分の右耳の耳たぶを人差し指と中指ではさんで、親指で触りだす。

その仕草はごく自然であり、

風が吹けば葦が揺れるのと変わらないほどである。


しかし、

それはまだいい方で、

野末さんは

たまに他人の耳たぶも勝手に触り出してしまうのだ。

俺も何度か急に耳たぶを急に触られてびっくりした事があるし、

俺じゃない誰かが触られて驚いているのを何度も見た事がある。


なんとなく、

今日は野末さんの耳たぶを俺も急に触ってみようと思った。

少しドキドキしながら、

野末さんの右耳に手を伸ばした。

野末の柔らかそうな耳たぶをコリッと掴むと、

野末さんは、

『ひゃっ!!』と言って、

『やめて下さいよー!』と言った。

『え?自分が触られるのは嫌なの?』

と聞くと、

『そりゃそうですよー!』

と言った。


実に勝手な話だが、

まぁ気持ちはわからんじゃないし、

でも “なんなんだよ。こいつ。“ と思ったら、

笑けた。

2人であはははーと笑った。

その時ふと驚いた。


耳たぶを触り合って笑っている2人は、

もう40歳前後なのである。


また明日なー。

「ある人間の日記」

ロックンロールバンド THE だいじょぶズの唯一無二。 天下無敵のフロントマン、 マツノコウスケが綴る。 ある世界の、ある人間の、 ある男の、普通の日記。

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